1960年代まで、梨園で行われる梨狩りでは、農家の方が収穫作業で使っていたものと同じ竹籠を使用していました。しかし籠のささくれが、その頃女性の間で急速に普及した化学繊維製のストッキングによく穴を開け、苦情に困っていたそうです。
その話を耳にしたある製袋メーカーが代替となる袋を考案し、1960年代半ばから提供を始めたのが、形状面での現在のレジ袋の起源と言われています。
<写真提供:石島梨農園 http://74ya.com/index.html >
その後、また別の製袋メーカーが、合成樹脂フィルムの開発を経て1970年代に日本で初めての極薄強化フィルムの商品化に成功。その頃主流だった紙袋に比較し、薄くて軽くて雨や荷重にも強いレジ袋が製造できるようになった事から、同年代後半に大手のスーパーやコンビニエンスストアで積極的に採用され始め、爆発的に普及し現在に至ります。
しかしながらレジ袋はそもそも、梨やりんごなどの果物や、そこから転じて野菜や食肉など、主には食品「素材」の収納を想定して作られたものです。
残念ながら開発された当時は、調理され盛り付けられた弁当や丼物などの、天地無用(*1)食品である中食(*2)を収納する事は、想定されていなかったのです。
(*1): 天地無用 … 天と地が定まっており、傾けたり引っくり返してはならないこと。
(*2): 中食(なかしょく)… 広くお弁当類、テイクアウト類などの調理済み・盛り付け済み食品を指す。
振り回したり、突き上げたり…手荒に持っていた結果の汁こぼれや盛付け崩れなら、ある意味、納得はいきます。でも、こぼれないよう・傾かないよう、慎重に意識して持っていたはずなのに、気が付いたら、いつの間にか中身が傾いていて…。 これまでのレジ袋が引き起こしてきた、そんな隔靴掻痒(かっかそうよう)のモヤモヤ感を解消し、慎重に持てば持つほど、その思いに繊細に応えてくれる食品専用包装材を作りたい…それが開発のスタートとなっています。
「持ち手の意思を、繊細に反映してくれる包装材を作るには…?」試行錯誤の末、たどり着いたのが、人力の時代を含めば2000年を遥かに超える歴史を持つ、クレーンの「安定して運ぶ」技術でした。 その素晴らしい技術資産の数々を、これまでレジ包装材は活用しきれていなかったのです。
ランチビークルは、クレーンの歴史に磨かれてきた吊り技術「玉掛け」の概念を食品の包装材に初めて投入する事で、革新的な進化を実現しました。
<Photo by Free.Stocker>
持ち運びの安定度で定評の手提げ紙袋の構造を、ポリエチレン製のレジ袋上に、より安価に移植する事をターゲットとしました。
美しいデザインは人々の生活を豊かにするものと信じ、これまでになく「美しい」食品用包装材を設計しました。「美しさ」は単なる見た目だけではなく、高い機能性と合理性の裏打ちがあって初めて実現するものと胆に銘じ、デザインに落とし込みました。
ランチビークルは、どこまでもシンメトリにこだわっています。その形状だけでなく、容器を支えるテンションじわも、美しくシンメトリを描きます。(収容した容器がアシンメトリな場合を除く。)
また、ランチビークルは収容物にどこまでもピッタリとフィットします。従来品に見られるような、無用なダブツキとはおさらばです。このデザイン性とホールド感を、是非ご自身の手でご体験下さい。